G7サミットについては,カナダのトロント大学にこれに特化した研究センターがある。率いているのはジョン・カートン名誉教授,わたしとは共著を編集した仲だ。

カートン教授は,トロント大学の学生や大学院生,さらには世界各地のサミット研究者を毎年のサミット開催地に集めて,公式文書を分析し,とりあえずの評価を加える。その後,1年かけてサミットで発表された公約(コミットメント)の遵守度を調べている。
カートン教授の評価は厳しい。2016年の伊勢志摩サミットについて中日新聞紙上で議論したときには,私がBとしたのに対し,彼はCプラスの評価を譲らなかった(その後,Bマイナスに変更)。ちなみに,2008年の洞爺湖サミットはBプラス,2000年の沖縄サミットはBだった。

このカートン教授は2023年の広島サミットにAを付けた。かれが開催地に赴いて評価した初のAである(振り返っての評価では1978年もA)。核不拡散やウクライナ支援が目立つサミットだったが,環境や保健衛生など,他の政策領域でも多くの合意がなされた。公式文書に盛り込まれた公約数は過去最多となる698で,それまで最多だった前年のエルマウ・サミットの公約数を150(28%)も上回った。

広島サミットの公式文書に盛り込まれた公約数は過去最多!
なお,2024年2月にトロント大学の研究グループが発表した広島サミットの暫定の公約遵守度は,主要20テーマについて91%とされ,前2年のサミットを上回っていると評価された。
もちろんランキングについても遵守度についても主観が混在することは避けられない。それでも長年サミットを見続け,おそらく感覚的にも「違いがわかる」カートン・チームの評価が高かったのには,私も両手を挙げて賛同したいと思う。
