首脳たちは3日間(実質的には2日半)のサミットで,じつに多様なテーマを話し合う。
まだ議論の中心が先進国間の経済政策の協調だった時代,首脳たちは初日の午後に国際政治問題を議論し,政治的メッセージを「議長声明」として発出していた。そして2日目に国際経済問題についてしっかり議論し,その結果を3日目に議長が「コミュニケ(首脳宣言)」として発表していた。
だが,G7のメカニズムが発展してくると,政治と経済に加えて, 環境問題などの国際社会問題についても議論するようになり,議題が多様化した。また,途上国や新興国などとの協議も不可欠になり,会合の顔ぶれじたいが多彩になった。ゲストも参加する拡大会合は,裾野を広げるという意味で,しばしば「アウトリーチ会合」を呼ばれる。
議題と参加国の多様化を踏まえ,近年のサミットは数多くの会合(セッション)をこなすようになっている。2023年の広島サミットの場合はこんな感じだ。
5月19日(金曜日)
セッション1「分断と対立ではなく協調の国際社会へ/世界経済」(G7,ワーキング・ランチ)
セッション2「ウクライナ」(G7)
セッション3「外交・安全保障」(G7,ワーキング・ディナー)
5月20日(土曜日)
セッション4「パートナーとの関与の強化:グローバル・サウス,G20」(G7)
セッション5「経済的強靱性・経済安全保障」(G7,ワーキング・ランチ)
セッション6「複合的危機への連携した対応」(G7,招待国・国際機関)
セッション7「持続可能な世界に向けた共通の努力」(G7,招待国・国際機関)
5月21日(日曜日)
セッション8「ウクライナ」(G7とウクライナ)
セッション9「平和で安定し、繁栄した世界に向けて」(G7,招待国,ウクライナ)
閉会セッション(G7)

広島サミットで首脳たちは10の会合をこなした!
それぞれのセッションには60分から100分が割り当てられている。公式日程に「ワーキング・ランチ」や「ワーキング・ディナー」という言葉が登場するように,食べながらも議論している。せっかくの広島名物なのだから,ゆっくりと味わってほしいのが開催地の願いだろうが,なかなかそうもいかないのかもしれない。(幸い,2日目のディナーは「社交行事」に当てられ,参加した全首脳と配偶者が神楽や能などを見ながら日本食を堪能された。)
ちなみに,首脳たちはこれらのセッションの合間を見て,二国間外交も積極的に行っている。山登り同様,サミットは体力勝負と言ってよい。
