2025年のカナナスキス・サミット(カナダ)が終わった。アメリカのトランプ大統領に振り回されることが想定されたことから、G6+1での激論にならないように、議長国カナダは議題を慎重に選び、首脳宣言の発出も見送った。結果として激論は回避され、政策分野レベルに絞って合意が得られた。
とはいえ、合意され公式文書化された政策領域は、きわめて無難なものだけだった。山火事、重要鉱物、AI、量子、国境を越えた抑圧、移民の密入国の6つだ。これに大慌てで「イスラエル及びイランの間の最近の情勢に関するG7首脳声明」が加えられた。イスラエル・イラン紛争に関する声明がアメリカも賛成するかたちで出されたことを評価する向きもあるようだが、その文書の長さは日本語にして原稿用紙1枚にも満たない(380字)もので、きわめて簡潔にイスラエルへの支持を表明するものにすぎなかった。
外務省仮訳の基づくカナナスキス・サミット7文書の合計字数は、広島サミットの「首脳コミュニケ」だけと比べても3割に満たない。さらに広島サミットでは個別声明と関連文書が合計9も採択されたのだから、今回のカナナスキスの政策合意はきわめておそまつなものだったと言えるだろう。もちろん、トランプ政権になってからの最大の世界経済上の課題である貿易(関税)については、触れてもいない。これまでのサミットでは主要議題とされることも多かった気候変動対策も、今回は合意文書に登場しなかった。

G7カナナスキス・サミットでの政策合意は、形式的なものが少しだけだった!
今回のサミットで、アメリカのトランプ大統領は初日の4つの会議(世界経済の見通し、「経済成長、経済安全保障・経済強靱性」、「コミュニティを安全にする」、「世界を安全にする」)に参加した後、2日目の拡大会合など(ウクライナ、エネルギー、総括)をキャンセルして帰国した。イスラエル・イラン紛争への対応が理由とされたが、もしかしたらトランプ大統領としては、G7首脳だけの会議にはすべて出席したのだから文句はないだろう、という気持ちだったのかもしれない。
ゼレンスキー大統領と北大西洋条約機構(NATO)のトップも参加するウクライナに関する拡大会合では、アメリカの支援継続が要求される。一方、エネルギーに関する拡大会合には、オーストラリア、ブラジル、インド、メキシコ、南アフリカ、韓国といった招待国も参加するので、各国の発言は短くなり形式的になりやすい。トランプ大統領が両方とも面倒なだけだと思ったとしても不思議ではない。
ちなみに、これまでも災害・選挙・天候などの理由で早めに引き上げた首脳はいたので、早退しただけでトランプ大統領がG7を軽視したと決めつけることはできない。それに、アメリカはG7をばかにして最初から不参加を表明したわけではなく、2日目の会合に財務長官を代理出席させたのだから、G7を都合よく利用するつもりではあっても、無意味な存在としておとしめるような態度は見せていない。
G7の議長は各国の持ち回りである。2027年にはアメリカが議長国になる。G7がアメリカの政治的影響力を見せつける機会でもある以上、フランスが議長国を務める来年のG7サミットにも「ほどほどの参加」を続けるにちがいない。

アメリカはG7サミットを軽視したように見えるが、今後も参加は継続するだろう!
