高市首相の人事と言葉は「謹厳実直」

自由民主党と日本維新の会による自維連立政権ができ、高市早苗氏が衆参両院の首班指名を受けて首相に就任した。当然のことながら就任直後に組閣が行われて高市内閣が誕生し、その後まもなく国会において所信表明演説が行われた。私には複数の新聞社からの取材があり、内閣の顔ぶれについての印象と所信表明演説についての印象を尋ねられた。

まず、高市内閣の顔ぶれについては、中央官庁で仕事をした経験がある者が多く選ばれた点に着目した。片山さつき財務大臣を筆頭に、東京大学を出て財務省などに入った「エリート官僚」出身者がやたら目立つのである。それに、自民党総裁選を争った3人の実力者は閣僚経験が豊富である。中央官庁を動かす力をもった政治家を大臣に選び、とにかく早期に成果を出そうという高市首相の意図が感じられる布陣となった。

官僚出身や二世議員でなく、地方議員から国会議員になったような「叩き上げ」型の政治家はいなかったね!

一方、所信表明演説については、気をてらった表現がなかった点を指摘した。「政治の安定」「強い経済」「責任ある積極財政」などが強調されたものの、キャッチフレーズで自身の政策をアピールするようなことはなかった。

例えば地方の活性化については、岸田文雄元首相は「デジタル田園都市構想」を掲げ、石破茂元首相の場合には「地方創生2.0」をうたい文句としたが、高市首相は「地域未来戦略」という、まったくキャッチーとはいえない言葉を使った。

フレーズの代わりに吉田松陰への言及があったが、これは山口県出身の安倍晋三元首相とのつながりを想起させるための演出だろう。外交について、安倍元首相の言葉として知られる「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」を使ったのも同様の理由からにちがいない。

いずれにしても、高市首相は、国家・国民に寄せる思いと他党との真摯な協力に感情を込めたほかは、淡々と政策を語った。これは内閣の顔ぶれ同様、政策実現を重視する姿勢の表れと見ることができるだろう。 

広告宣伝的な軽佻浮薄さが少なかった以上、高市内閣のスタートは謹厳実直なものだったといえるのではないか!