「先進国」ではなく「主要国」の首脳会議!

「G7」はどう説明すべきか。Gは「グループ」の略語なのだから,「G7」は「7か国グループ」という意味にすぎない。しかし,それではどういう7か国かがわかりにくいので,マスメディアの表記などでは,「G7サミット(主要国首脳会議)」といった感じで,「主要国首脳会議」とか「先進国首脳会議」という言葉を足すのが一般的になっている。カッコ書きにせず,「主要7か国首脳会議」と一つにまとめることもある。

「先進国」と「主要国」のどちらがいいかについては,今のサミットを表す適切な言葉は「主要国」だろう。「先進国」では経済的視点が強調されすぎるからだ。サミットは,歴史的には「先進国」の政策調整として始まったが,今では経済問題に限らず,政治問題,環境問題,人権問題などなど,ありとあらゆる国際問題を話し合うフォーラムになっている。

たしかに,人口,経済力,軍事力などの基準を使って「大国」を決めることはできる。しかし,「大国」であることとグローバル・ガバナンス(地球統治・地球管理)のために力を発揮することとは別問題だ。事実,力が付いてきたのをよいことに,ルールを無視したり破壊したりする「大国」もある。ゆなので,サミット参加国については,国際秩序の形成・維持を担おうとする点に注目して「メジャーな国=主要国」と呼ぶ,と考えたらよいように思う。なお,外務省のホームページも「主要国首脳会議」を使っている。

「先進国」や「大国」と「主要国」とは違う!

ちなみに,国際連合を経済的に支えているのもG7である。国連予算分担率(2024年)で見ると,G7の7か国(あいうえお順に,アメリカ,イギリス,イタリア,カナダ,ドイツ,日本,フランス)は国連の予算の約5割を負担している。アメリカと日本だけで約3割だ。さらに,G7の正式メンバーであるEU(欧州連合)加盟国の分を加えると約6割に達する。

一方,国連の安全保障理事会の常任理事国である中国とロシアは合計で約17%を負担しているにすぎない。経済力を付けてきた中国はアメリカに次ぐ約15%の負担をしているが,ロシアは1.8%しか負担していないのである。同国が国連安保理で「大国」の扱いを受けているのは,歴史的経緯に加えて核兵器を保有しているためであり,国連の活動を経済的にしっかり支える貢献を果たしているためではない。

最近では,国際政治を語る際,「新興国」の台頭と影響力の増大を指摘する意見が多い。だが,国連への寄与にかぎらず,G7が日常的に行っている経済政策の調整,グローバル危機への対応,地球社会への貢献などを,いまだ緩やかにしか連携できていない「新興国」グループが肩代わりできるとは考えられない。いかに「新興国」が個々に経済力や軍事力を強めてきても,それぞれの政治的価値観には違いも見られる。G7への対抗という点で政治的に団結することがあっても,グローバル・ガバナンスへの貢献でG7を凌駕することは当面ないだろう。私は,いかに影響力が低下しようとも,自由・民主政治・人権・国際法を尊重するG7が,「主要国メカニズム」として国際秩序形成の中軸に存在しつづけることを望ましい姿だと思っている。

「新興国」の影響力を過大に評価してはならない!