G7サミットの参加者は7人でも9人でもない!

G7(group of seven)は,日米英独仏伊加の7か国を中心とした国際政治の枠組みである。当然,その首脳会議である「サミット」には,7か国の政府首脳(大統領あるいは首相)が参加する。だが,ここで注意が必要なのはEU(欧州連合)の代表が2名参加していることだ。

G7サミットは1977年に始まった。その2年後の1979年以降,当時のEC(欧州共同体)を代表するかたちで,議長国(オランダやスペインなど)の首脳と,行政府にあたる欧州委員会の委員長の2名が参加するようになった。その後,2009年に欧州理事会に常任議長が置かれて事実上の「EU大統領」として振る舞うようになると,この大統領格の「常任議長」と首相格の「委員長」の2名が参加するようになった。

ということで,G7サミット=首脳会議に参加するのは9名である。たった7人が話し合って世界のことを決めるのはおかしい,という見方があるが,EUを代表する2名は実際にはEU加盟27か国の代表である。周知のごとく,EUはその多くが通貨ユーロを利用したり,共通の環境政策を採用したりと,あたかも巨大国家のように統一政策を実施している。したがって,G7サミットの政策決定が直接的に影響する国の数は,G7の7にEUの27を足して,重複する独仏伊3か国を引いた31か国になる。

G7の決定は31か国の政策に直接的に影響する!

しかも,G7サミットでは招待国の首脳と国際機関の長も一部の会議(拡大会合=アウトリーチ)に参加する。招待国のほうは,大半が新興国や途上国から選ばれ,先進国だけの考えで物事が決まらないように意見調整が図られている。地域的にも地球をまんべんなく網羅するような配慮がなされることが多く,各地域を代表する国際地域機構の代表がしばしば招かれる。中国やロシアの不参加をとやかく言う人がいるが,G7サミットの歴史を振り返れば中露も常連だった(中国は招待国として参加。ロシアは一時期,正式メンバーだったが追放された。この経緯については別稿に譲る)。

2023年の広島サミットを例にとると,ASEAN(東南アジア諸国連合)の議長国であったインドネシア,AU(アフリカ連合)の議長国のコモロ,PIF(太平洋諸島フォーラム)の議長国のクック諸島の首脳が招待された。ほかには,新興国からはブラジルとG20議長国でもあったインドが,また日本との関係が深い韓国,オーストラリア,ベトナムの首脳が来日して一部のセッションに参加した。加えて,期間中にウクライナのゼレンスキー大統領が広島を電撃訪問したのは,記憶に新しいことだろう。

広島サミット公式集合写真(拡大会合)

招待国首脳の数は合計で9だが,言うまでもなく,ASEANやAUなどの代表は,それぞれの地域連合を代表して参加している。ようするに,G7サミットの議論が影響を与える国の数は,31+9にはならないのである。ASEAN には10か国,AUには55か国・地域,PIF には18か国・地域が加盟しているのだから,それを踏まえれば,世界の半数以上の国の意見が表明され議論されるフォーラムになっていると言ってもおかしくないのである。

国際機関の長が参加することも忘れてはならない。他の地域機構や国家連合の会議とちがって,G7サミットには国連の事務総長がかならず顔を出す。そのほか,広島サミットの場合は,国際通貨基金,世界銀行,世界保健機関,世界貿易機関,経済協力開発機構,国際エネルギー機関のトップ計7名が参加した。G7サミットは,世界のほとんどの国が参加するこうした国際機関と協力しながら,世界の問題に対処している。

先進国の7人の政治リーダーが美食を食べながら歓談するイベントという理解がいかに間違っているか,参加者の顔ぶれを見ただけでもわかるはずだ。

地域機構や国連機関のトップも参加するG7サミットの影響は地球全体に及ぶ!