多岐にわたるサミットのテーマの中で,重要度が増しているのが情報社会の在り方だ。2023年の広島サミットでも,急速に普及したChatGPTなどの生成AI(人工知能)が大きな話題となった。
コミュニケ(首脳宣言)には,責任あるAI,信頼できるAI,AIガバナンスといった観点から,生成AIの可能性と課題を議論する必要性が書き込まれた。そして,首脳会合は関係閣僚に対し,幅広い関係者を集めて議論する「広島AIプロセス」の創設を指示した。
この「広島AIプロセス」は,同年10月に「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」を取りまとめ,民主主義や人権を損なうような生成AIの開発・導入を容認しないことを表明した。また,同年12月の広島AIプロセス閣僚会合では,10月の文書を盛り込んだ詳しい国際指針(広島AIプロセス包括的政策枠組み,広島AIプロセスを前進させるための作業計画)に合意し,G7首脳による承認を得た。今後は他の国際会議を活用して,世界の国々と広く共有を図っていくとしている。
一方,最近よく話題となる「越境情報による他国への干渉」については,広島サミットに先立って開催されたデジタル・技術大臣会合(群馬県高崎市)で,「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の促進に向け,「DFFT具体化のためのG7ビジョン及びそのプライオリティに関する附属書」及び「DFFT具体化に向けたパートナーシップのためのアレンジメントの設立」が承認された。また,首脳会合のコミュニケにおいても,民主主義の小見出しの内容の一部に,「国際社会における意見の対立を招く偽情報を含む外国からの情報操作及び干渉に対処することにより,情報環境を保護するという我々のコミットメントを再確認する」ことが盛り込まれた。

サミットの首脳会合はいわば司令塔。特別チームや閣僚会合に議論を指示し,課題に対処していく。
ちなみに,G7サミットがデジタル化やITを議論するようになったのは,1990年代の末ごろからである。別文書をもってITの重要性や情報格差(デジタル・ディバイド)に言及したのは,2000年の沖縄サミットの「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」が初めてだ。
情報社会に関する別文書は2016年の伊勢志摩サミットでも発表された。サイバー空間の安全性やデジタル経済についてのコンセンサスを掲げた「サイバーに関するG7の原則と行動」が,首脳会合の成果文書の1つとして採択された。

日本で開催されたサミットは,IT・AIがもたらすグローバルな問題について大きな役割を果たしてきた!
