2025年6月の東京都議会議員選挙についての論評・考察は、どこの政党が勝利して、その理由は何だったのか、そして翌月に実施される参院選にどういう影響があるのか、についてのものがほとんどだった。だが、日本の政治構造を考える上で注目すべきは政治に関わろうとする「人」である。
日本の政治構造の問題点は国政を支える地方政治の厚みがなくなってきていることだと、私は思っている。新しい政党が次々と登場して国の政治は賑やかになっているが、地方政界では「なり手不足」が深刻になっている。市町村だけの話ではない。都道府県でもそうなのだ。
2023年の統一地方選では、41の道府県議選の合計で無投票当選者が総定数の4分の1(565人)にのぼった。市町村レベルは言うに及ばず、道府県レベルでも、地方議会には選挙を戦わずして当選した議員がたくさんいるのである。長い間まったく選挙がない選挙区もあり、島根県のある選挙区では1987年から2023年までの10回の県議会選挙がすべて無投票となった。
無投票当選者が道府県議会に占める割合は、最も高い和歌山県で64%で、61%の徳島県とともに6割を超えている。都市部だと少なそうだが、大阪府でも20%の府議会議員が無投票で当選している。
そんななか東京都議会にだけ無投票当選者がいないのである。東京都議会議員選挙では、42ある選挙区すべてで競争があった。選挙運動が行われ、候補者たちが街頭で政策を論じたのである。
立候補者は定数の2倍以上いた。定数1の千代田区選挙区には7人、定数8の世田谷区選挙区には18人が立候補した。

都道府県議会で無投票当選者がいないのは、東京都だけなんだ!
当選者についても東京都議会だけに見られる特徴がある。まず、女性比率が高い。定数127のうちの45は女性議員である。都道府県議員の女性比率が全国平均で1割程度なのに対し、東京では35%にも及ぶ。議員の3人に1人が女性になってもまだ少ないという意見もあろうが、女性議員が2人しかいない大分県議会(定数43)や山梨県議会(定数38)と比べれば、雲泥の差といってよい。
年齢構成についても、東京都議会はきわめて例外的である。多くの県議会では高齢化が進んでいる。60歳以上の議員が半数以上を占める県議会が大半で、長野県や宮崎県ではその割合が75%を超えている。34の道県では議員の4分の1が70歳以上だ。
一方、東京都議会には70歳以上の議員がいない。60歳台の議員は23人いるが、割合では18%にすぎない。反対に、20歳台の議員が5人いる。30歳台にも22人の議員がいる。かりに40歳未満を「若手」とするならば、東京の若手議員率は20%を上回る。ほかの多くの県では5%もいない。8県では2%以下だ。

東京都議会は女性比率や若手比率の高さが例外的に高い!
石破内閣は重要政策に「地方創生」をあげている。国は地方への支援策を強化している。だが、地方の政界には、地方創生をエネルギッシュに進める人材が不足しているのではないか。既得権益や長年の風習が参入障壁になって、創生にふさわしいフレッシュな人材が地方政治にかかわれない状況になっているのではないか。
企業活動もスポーツも、競争があるからこそ、上をめざしていくのである。競争もほとんどなく、顔ぶれもあまり変わらず、年老いた男性が多くを占める県議会。そして、さらにひどい市町村議会。これらをなんとかしなければ、地方創生などうまくいくはずはない、とわたしは思っている。

「地方創生」が大事なら、地方政界をもっと活性化させないと!
