政局の構図の時代区分:今は新旧政党が入れ替わる時代!

 2026年に入ってから、新聞社の講演会で高市政権について話す機会があった。その際、政治の大きな流れとして、政局の構図が変わってきていると述べた。簡単に解説しておきたい。

 私見によれば、自由民主党と日本社会党が結成された1955年からの「55年体制」以降の日本の政局は、以下の3時代に区分できる。 

1 自民党派閥交代政局の時代 1955〜1993年

 2大政党といっても当時の社会党は自民党の半分程度の議席しかもたず、政権交代が期待できない政治状況にあった。しかし、自民党内では首相の座をめぐる派閥の勢力争いが激しく、主流派と非主流派による擬似政権交代が見られた。

2 与野党政権交代政局の時代 1993〜2012年

 わたしがよく「小沢政局の20年」と言い換える時代。自民党が分裂して、政権交代が起きるようになり、「剛腕」で知られる小沢一郎氏が仕掛ける政治戦略がしばしば有効性を発揮した。1993年と2009年には、国民のイメージがよく、かつ「おぼっちゃまタイプ」でコントロールしやすい細川護煕氏と鳩山由紀夫氏をかついで政権交代を実現させた。

 これら2つの非自民連立政権のあいだは、政権に返り咲いた自民党を中心とした連立政権が続いた。小泉純一郎氏を首班とする長期政権の時期(2001〜2006年)もあったが、そんなときでも小沢氏の政治戦略への注目と政権交代への期待感は一部に根強く残った。

でも、安倍長期政権の登場で、小沢政局の20年は終わったんだ!

3 新旧政党交代政局の時代  2012年〜

 2012年12月、3年3か月に及ぶ民主党政権が終わり、安倍政権(第二次・自公連立)が誕生すると政局は新たなフェーズに入る。「自民1強」の政治情勢が長期化し、「反自民」だけを共通項にするような政権交代の実現可能性は薄らいでゆく。

 選挙に勝利するには団体(業界、宗教等)の支援が不可欠だが、小泉政権以降、党首イメージによる無党派層への訴求力も重要となった。時代が進むとともに労働組合等の団体加入率は減少傾向となり、一方でSNS等が影響力を増すなか、団体依存だけでは選挙に勝てない社会状況が定着してきた。  

 これまで「左か右か」「保守か革新か」で色分けされてきた政党は、個人ベースで政党選択する有権者を重視する「新しいタイプ」か、所属団体の指示に従って投票する有権者を重視する「古いタイプ」かに分けると時代の変化が見えやすい。大きな政党はもちろん両面を持ち合わせてはいるが、力点がどちらに置かれているかで、政局を動かす力の有無を判断できるように思う。

 「新旧政党の交代」という視点で昨今の政局の動きをながめてみよう。左派では旧タイプの社民党・共産党に代わって、極左ポピュリズムの新政党「れいわ新選組」が台頭している。右派では新たに参政党が躍進してきた。欧州各国ですでに大きな政治勢力になっている極右ポピュリズムの新政党(複数)が日本においても出てきたわけである。中道では旧タイプの公明党に代わり、新タイプの日本維新の会や国民民主党が、今や自民党中心の連立政権を支える存在になっている。

 では、自由民主党と立憲民主党は新旧どちらのタイプなのだろうか。

 自民党に、地域や業界の利益を代弁することに力を注ぐ「支援団体重視の旧タイプ型議員」が多いのは事実だろう。だが、個人の判断で投票する新保守層(ナショナリスト)にウケがよい議員もいる(たとえば高市早苗氏)。また、既得権益よりも構造改革を重視し、国際競争力の向上を願うグローバル・リベラリストの評価が得られそうな議員もいる(たとえば小泉進次郎氏)。加えて、若年層の支持の高さもある。古いタイプの政党と決めつけるわけにはいかない。

 一方、立憲民主党には、2017年の誕生の際、「排除されてかわいそう」という感情的ブームがあった。だが、人権重視の主張は都市部の知的エリート層の支持は得られても、その広がりには限界がある。そのため2021年には、共産党と共闘する左派路線(リベラル)から中道路線への転換が図られた。

 しかし、自民党の政治資金問題で野党支持が増えるはずの2024年の衆院選と2025年の参院選の結果は、立憲民主党の「人気のなさ」を印象づけるものとなった。衆院選では、小選挙区選挙で「反自民」の受け皿になり当選者を50%増やしたが、比例代表の得票は0.6%しか伸びなかった。一方、参院選の当選者は選挙前と同数で、事実上の負けになった。労組への依存は今も根強く、個人ベースで投票先を判断する有権者の支持が多くない以上、新しいタイプの政党と位置づけることはできない。

新タイプ政党の特徴は、自民党にはあると言えるが、立憲民主党にはあまり見られないね! 

 昨今のことをいえば、自民は維新や国民と連携することで新タイプ色を濃くし、立民は公明と一体化することで衰退する旧タイプの党勢回復を模索している(もちろん「中道改革連合」が新タイプに脱皮の可能性もゼロではないが)。

 次期選挙の結果がどうあれ、長期的に見れば、揺れ戻しを繰り返しながらも、団体依存の旧タイプは影響力を低下させていく。一つの政党内でも新タイプの政治家が旧タイプの政治家より発言力を増していくはずだ。もちろん、メディアと同じで、「オールド」が完全になくなることはない。だがゆくゆくは、キャラ立ちした党首と明瞭な主張(政治理念・政策)をもつ新タイプの政党間で政局をめぐる駆け引きが行われる時代になると、わたしは思う。